DR-05/DR-07シリーズを使ったアナログ音源のデジタル化 その1(準備編)

最近TEACブランドからはマスターレコーダーのSD-500HRや、CDレコーダーのCD-RW890MKII、MDとCDのコンビネーションデッキのMD-70CDが生産完了となり、TASCAMブランドでもマスターレコーダーのDA-3000が終了となっています。

TASCAMでは、CDレコーダーに関してはまだCD-RW900SXが有るので、アナログからのCD化は行う事が出来ますが、価格的にもう少し安い価格でアナログ音源のデジタル化が出来ないかとの相談を受けることが多くなってきました。

そこで今回は1~1.5万円前後と価格的にも導入しやすく、操作も比較的簡単で実績のあるTASCAM DR-05/DR-07mkIIを使ったアナログ音源のデジタル化を案内したいと思います。

このTASCAM DR-05/DR-07mkIIは、見た目は少しプラスチッキーで安っぽく見えるかもしれないが(失礼)、TASCAMブランドのPCMレコーダーで長年売れ続けているベストセラー機であり実力機です。

PCMの16bit 44.1kHz(CD音質)からハイレゾ音源の24bit 96kHzまでの録音が可能で、通常は内蔵マイクを使用したライブ録音やスタジオ録音、鉄道の録音等に威力を発揮するモデルですが、今回は敢えて据え置きのPCM録音機として使用してみようと思います。

■必要なもの

・PCMレコーダー:TASCAM DR-05もしくはDR-07mkII

・Windowsパソコン(CD化するならCD-Rドライブ等必須)

・元音源の再生装置:ターンテーブルやカセットデッキ

 ※RCA出力端子またはイヤホン/ヘッドホン端子必須

・接続ケーブル(再生機により異なる)

・編集アプリ:TASCAM Hi-Res Editor(録音ファイルの分割に使用)

・CD-Rディスク:最終出力用(CD-R化時に使用)

・CD-R書き込みアプリ:Windows Media Player(Windows標準)


■DR-05/07mkIIの準備(設定)

まずは録音の為に必要な設定を行います。

その前に、DR-05/DR-07mkIIにはボタンや本体のシルク印刷が英語の初期モデルとすべてのシルク印刷が日本語の現行モデルが存在します。

現行モデルは本体のシルク印刷に加えメニューに関しても日本語化されていますが、英語シルク印刷の初期モデルでもTASCAMの製品ページから最新ファームウェアを適用することにより、日本語メニューになるので、是非録音前に最新バージョンにバージョンアップしておきましょう。

詳細は下記の製品のダウンロードページを参照して欲しい。

 DR-05ダウンロードページ

 DR-07mkIIダウンロードページ

また、現在はUSBオーディオインターフェイス機能を加えたDR-05XおよびDR-07Xも存在しますが、基本的な使用方法や設定は共通なので、参考にしていただければ幸いです。

具体的な設定は以下を参照してください。。


<録音設定>

まずホーム(HOME)ボタンを長押しで電源を入れて、「メニュー(MENU)ボタン>録音設定」を選択。

今回は後々のCD化も考えてファイル設定はCDと同じ44.1kHzの16bitとした。


録音形式:WAV 16bit

サンプル:44.1k

チャンネル:ステレオ

録音サイズ:2G (3:22)

マイク電源:オフ

低域カット:オフ

事前録音:オフ

自動トーン:オフ

トーン秒数:1秒

トーン音量:-18dB


<自動録音>

モード:オフ

開始レベル:-12dB ← モードがオフなので何でもいい。


<入力レベル制御>


次に入力レベル設定を行うため録音(RECORD)ボタンを一度押し録音待機状態にします。 

録音中(REC)が点滅している状態が録音待機状態、常時点灯が録音状態となります。

なお、基本TASCAMのレコーダーは一度録音ボタンを押しただけでは録音はスタートしないので安心してください。

録音待機状態になったら、クイック(QUICK)ボタンを押し、入力レベル制御が表示されたら再生ボタンを押し、一番下のある「リミッター」を選択します。

「ピーク検出」や「自動レベル調整」は録音中に自動的に録音レベルが変わってしまうため、今回は選択しないほうが無難です。

取り直しのきかない屋外での一発録りには有効かもしれないが、録り直し可能な音楽の録音では「オフ」か「リミッター」がおすすめです。

今回はもしもの時の安全策として「リミッター」を選択します。

以上で録音レベル以外の録音のための設定は終了です。


■サンプリングレートと量子化ビット(bitレート)

実際の録音に進む前に、録音形式や上記設定でも数字が出てきたサンプリングレートや量子化ビットについて少し触れておきます。

録音設定の中で行った録音形式(&量子化ビット)とサンプリング周波数だが、今回は敢えて WAV 44.1kHz/16bit としました。


これは、すでに記載しているが市販の音楽CDと同じ設定であり、人間の可聴範囲である20Hz~20kHzまでの音声をカバーした録音が可能と言われています。

もちろん録音形式の量子化ビットやサンプリングレートを上げればもっと高音質な設定も可能ですが、今回はCDと同程度であれば音質的にもで十分であることと、パソコン等に保存した場合の容量のこと、そしてCD化も考慮してCDと同じ「WAV 44.1kHz/16bit」の設定としました。

DR-05/DR-07mkIIの録音サイズは、1ファイル最大2GBの制限があるが、この設定だと1ファイルで3時間22分の録音ができるため、通常のCDやレコード、90分までのカセットテープであれば十分1ファイルとして録音することが出来ます。

カセットテープやレコードの場合、表(A)面と裏(B)面があるため、実際にはそれぞれ1ファイルの2ファイル録音とするのが現実的であろう。

また、CD化する場合音楽CDの規格で上限が一枚80分までと決まっているため、例えば90分のカセットテープにフルに録音されているような音源の場合、CDを二枚に分けるかこの後工程の編集で、いらない部分(例えばCM等)をカットするなどの手当てが必要になる。

なお、レコードからの録音でもう少しダイナミックレンジを稼ぎたい場合などは、48kHz/24bit等の設定に変更してもいいですが、その分ファイルの容量が大きくなる(44.1kHz/16bit の約1.6倍強の容量)ので注意が必要です。

また、CD化の時には 44.1kHz/16bit にダウンコンバート等を行う必要も出てくるため、そのあたりも考慮した設定が重要です。

ちなみに、最高音質の 96kHz/24bit で録音した場合のファイルサイズは、44.1kHz/16bit の約3.2倍強、2GBの1ファイルで約1時間の録音が可能であるが、これだと収録時間の長いCDなどは1ファイルに収まらない可能性もあるので注意が必要です。


<量子化ビットとサンプリングレート>

ここでは簡単な説明としますが、量子化ビットとはある一瞬の音の強弱(大小)を表し、サンプリングレートは音の最大周波数を表す数字と言われています。

言い方を変えると、量子化ビットは周波数特性グラフの縦軸を、サンプリングレートは横軸を表すと言われており、量子化ビットを増やすとより細かい音の強弱の表現が可能になり解像度なども向上し、大きな音に埋もれて聞こえていなかった音が聞こえるようになる、と言われています。

これに対して、サンプリングレートを上げていくと、より広い周波数を記録/再生することが出来て、96kHzで40kHz強までの周波数まで記録/再生できると言われています。

これにより、可聴帯域外の倍音成分まで録音/再生されることになるが、実際には可聴帯域内の音の変化や解像度の向上にもプラスとなると言われているので、生音を録音する場合などは必要に応じて高音質設定にすればいいと思います。

なお、今回のような場合には再生する機器の性能や元音源に左右されることはいうまでもありません。


<WAVとMP3>

DR-05/DR-07mkIIの場合、録音ファイル形式として圧縮を行っていないWAV形式と圧縮を行うMP3形式での録音をサポートしています。

WAVは基本的に圧縮をせずそのままアナログ音源をデジタル化しているため、信号の劣化が少なく原音により近い音になります。

これに対してMP3の場合、一般的な128kbpsの場合で同じ非圧縮のWAVファイルと比較して約1/10の容量になると言われており、例えば2GBのメモリーカードに60~70時間分の録音が出来ると言われています。

ただし、MP3は高圧縮率のファイルのため、非圧縮のWAVファイルと比較して音質的には劣ると言われており、きちんとしたシステムで比較した場合128kbpsの場合は音質の劣化を感じ取ることが出来ると言われています。 音質の劣化を抑えたい場合、一般的には192kbps以上のフォーマットで録音すれば、圧縮率は若干下がるがまず圧縮音源とはわからない音質で録音が可能となります。

このため、メモリー容量の限られた携帯オーディオプレーヤーやスマホに転送する場合は、占有容量が少なくて済むMP3が向いていると言えるでしょう。

また、長時間録音を行う必要がある場合もMP3での録音が向いていると言えます。

ただし、MP3にも弱点があります。

それは一度圧縮したMP3ファイルは非可逆圧縮と言われる圧縮形式のため、圧縮を復元しても決してオリジナルと同じにはならない(音質的にわかるかどうかは別の話)と言われていることです。

また、MP3等の圧縮音源はそのままでは編集が難しく、CD化を含めてその後の工程のマスター音源とする場合は、圧縮ファイルのMP3ではなく非圧縮ファイルのWAVを選択することが一般的でです。

通常WAVファイルの拡張子は「.wav」、MP3の拡張子は「.mp3」となる。

前置きが長くなりましたが、次回はいよいよ実際の録音方法を案内したいと思います。

 →その2(録音編)はこちら

 →その3(編集&CD作成編)はこちら

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