映像コンテンツが大好きな担当としては映画館やBlu-rayによる映像ソフトにとどまらず、サブスクリプション(定額制)による各社の映像配信サービスでも手軽に家庭で楽しめるようになったことはとても嬉しいことです。
弊社でも2022年からONKYO(オンキヨー)、PIONEER(パイオニア)、INTEGRA(インテグラ)ブランドのホームAV製品の取り扱いが始まりましたので、今更ながらおさらいをしたいと思います。
◆立体音響とチャンネル数
簡単に言うと、自分を中心に前後左右から聞こえる平面で表現される音だけでなく、縦方向の高さを加えた音場を再現する音響になります。
昔からホームシアタのサラウンドは5.1chというのが主流でよく耳にしましたが、立体音響は7.1.2chとか5.1.4chとか7.2.4chとか、3つの数字でチャンネル数を表現します。
まずはこの数字の意味からみていきましょう。
・7.1.2ch
「7.1.2」をそれぞれの数字毎に説明するとこのようになります。
一桁目「7」…自分を取り囲むように7つのスピーカーを配置。
フロントスピーカー左/右(FL/FR)、
センタースピーカー(C)、
サラウンドスピーカー左/右(SL/SR)、
サラウンドバックスピーカー左/右(SBL/SBR)、
の7つ。
二桁目「1」…低音を響かせるサブウーハー(SW)を1つ配置。
三桁目「2」…上方向の音を響かせるスピーカーを2つ配置。
この三桁目にあたる、上方向の音を表現するスピーカーについてはいくつかの設置方法と呼び方があります。
上記画像の通り、正面の壁の天井に近い場所にスピーカーを設置するのがフロントハイトスピーカー(FHL/FHR)。
埋め込みスピーカーにより天井に設置するのがトップスピーカー(TFL/TFR)。
しかし、お部屋の環境を考えると「ハイトスピーカー」も「トップスピーカー」も設置が困難で敷居が高いという方が大半ではないでしょうか。
そこで第三の設置方法が「Dolby Enabledスピーカー」。
フロントスピーカー左/右の上に、Dolby Enabledスピーカー左/右(DEL/DER)
として、イネーブルドスピーカーと呼ばれる斜め上を向いているスピーカーを設置することで上方向の音を再現します。
これならばお部屋の内装を変えなくても比較的簡単に立体音響を有効な状態(イネーブルド)にすることができます。
・5.1.4ch
自分を取り囲むスピーカーを5つ設置して、サブウーハーを1つ設置。
更に上方向の音を再現するスピーカーを4つ設置します。
上記画像はフロントハイトスピーカー左/右(FHL/ FHR)とリアハイトスピーカー左/右(RHL/RHR)の4つを設置したイメージです。
こちらは上方向の音をトップフロントスピーカー左/右(TFL/TFR)とトップリアスピーカー左/右(TRL/TRR)の4つを設置したイメージです。
こちらは上方向の音をDolby Enabledスピーカーフロント左/右(DFL/DFR)とDolby
Enabledスピーカーリア左/右(DRL/DRR)の4つを設置したイメージです。
・7.2.4ch
ここまでわかれば数字の組み合わせも見えてきますね。
自分を取り囲むスピーカーを7つ設置して、サブウーハー(SW)を2つ設置。
更に上方向の音を再現するスピーカーを4つ設置します。
上記画像ではトップミドルスピーカー左/右(TML/TMR)とリアハイトスピーカー左/右(RHL/RHR)の4つで上方向の音を再現しています。
ご紹介した例の中ではスピーカーの本数は最大の13本使用している組み合わせになります。
因みに画像に記載されているそれぞれのスピーカーの略称は下記の通りとなります。
このように環境に合わせていろいろな組み合わせで立体音響を再現することができます。
でも元々作品に収録されているチャンネルごとの音に対して、こんなに差引して良いのか?
アナログは1ch、ステレオは2chというように、チャンネル数に合わせてスピーカーをセッティングするべきではないのか?
このような疑問について次のコーナーで触れていきます。
◆立体音響のフォーマット
いくつかのフォーマットが立体音響には存在します。
ここではこの原稿を書いている時点で主流となっているフォーマットについてご紹介いたします。
まずは立体音響として最初に導入された「Dolby ATMOS(ドルビーアトモス)」。
それと「DTS:X(ディーティーエス エックス)」及びそのテクノロジーを搭載した「IMAX ENHANCED(アイマックス エンハンスド)」がよく見かけるフォーマットになります。
これらは共通して、「オブジェクトオーディオ」というサラウンド記録再生方式を採用しています。
オブジェクトオーディオはそれぞれのチャンネル毎に音声トラックを用意するのではなく、音声に位置情報を持たせてスピーカーから出力しています。
例えば鳥が左前方から右後方へ移動する映像があったとしたら、音も鳥の位置に合わせてならす事ができるわけです。
故に、スピーカーの数が多ければ多いほど正確な定位感を実現することも可能になります。
これらを楽しむコンテンツは冒頭に書いた通り、対応しているBlu-rayソフトだけでなく、サブスクリプション(定額制)による各社の映像配信サービスでも続々増えています。
筆者が確認したところ映画もそこそこ御座いますが、アメリカのテレビドラマに「Dolby
ATMOS」対応コンテンツが多くみられました。
また、Netfrixの場合は料金プランをプレミアムにする必要があったりそれぞれ各社で条件がある場合もございますので、詳細は各社WEBサイトにてご確認ください。
◆立体音響を体感
映像に合わせて上方向の音が存在する立体音響は、平面表現のサラウンド以上に更なるリアリティーがもたらしてくれる没入感を得ることができます。
概念や言いたいことはわかるが、やはりご自身が五感で体感してみないとその良さはわからないものです。
そこで、弊社では定期的に立体音響の試聴会を開催しております。
ご興味のある方はまずはイベントでご体験ください。
◆まとめ
前後左右から体感できるサラウンドに更に上方向の音を足すことで、まるで映像世界のその空間に誘われるかのような体験をさせてくれる立体音響。
新規で製作される映画やドラマのコンテンツだけでなく、過去の懐かしい名作コンテンツも高画質化とともに立体音響対応としてリファインされているので、馴染みのコンテンツでさえまた新たな一面を体感させてくれるに違いありません。
しかし、最初からスピーカーを7本以上用意するのは初期投資としてかなり敷居が高いのも本音です。
ですが、「Dolby ATMOS」や「DTS:X」及び「IMAX ENHANCED」の採用しているオブジェクトオーディオという音声に位置情報を持たせるサラウンド記録再生方式であれば、AVレシーバーさえまずはおさえておけば、スピーカー2本のステレオ状態から初めて、リアやサラウンド部分のスピーカーを少しずつ買い足して立体音響を体感していくのも楽しみの一つだと思います。
是非ご自身だけの立体音場を育みながら体験を楽しんでいただけますと幸いです。
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