(物語のはじまり)
先頭機関車の運転席から腕がすうっと伸びる、呼応するように2両目の機関車の運転席からも腕が伸びる、そして、3両目の運転席から同じように・・・。Dホームの先端で録音機をみはっている私の目の前で一連の動作が流れていく。そして、順番に汽笛が鳴り響く。録音の大事な瞬間なのに貴重な場面を見た感動でしばらくなにも考えられなかった。普段見落としているだけかもしれないが、こんな大切な儀式があることやそれを伝承していることに深く感銘を受ける。昭和レトロをつないでいく本気度も感じられる。現代なら自動制御でなにもかもおこなえるのだろうが、このタイムスリップしたような感覚はなんとも言えなかった。
2022年6月19日、南栗橋車両管区でSL大樹の3重連イベントが行われ、我々はその貴重な様子を記録することとなった。イベントは東武鉄道が動態保存で3両のSL車両を保有することを記念するもので北千住から始まるツアー形式となっていて、南栗橋車両管区までの往復と敷地内訓練線での3重連試運転の乗車、そして参加記念品を含めたファンには貴重なプログラムになっている。
(南栗橋車両管区)
ここは車両の整備や点検を行うほか、訓練線、仮設ホーム(Dホーム)やシミュレーターなどの教育施設も整っており乗務員の厳しい訓練が日々行われているとのことだ。さらに、SL検修庫もあり、まさにSL大樹の基地のようだ。
(3重連試運転のコース)
南栗橋車両管区にある仮設ホーム(Dホーム)から出発し、南栗橋駅方面へ向かい途中でバック走行してくる約10分程度の試運転コース。
(撮影ポイントと設置場所)
事前の打ち合わせで、撮影ポイントは3カ所に決まり、さらに、先頭車両と展望車への取り付けを含めて合計5カ所での収録が決まった。
Dホームからの出発と到着、それぞれのポイントで往路復路などと考えていると機材が膨れ上がってくる。結構、大所帯となった。
撮影ポイントA
撮影ポイントC
(車両への取り付け)
車両への取り付けとなるといつもは車掌車両をつかっていたが、今回は車掌車両がないため先頭車両の先頭に設置するという。ヘッドマークのあたりには人が立てるくらいの平面があるため、そこに重量のあるマイクスタンドを置くという方法だ。ところが、いざ設置に行ってみれば煤だらけ、我々が苦労するなか、見るに見かねた整備士さんがきれいな布で煤をふき取り、布のガムテープでマイクスタンドの足をしっかり貼り付けてくれた。展望車両は進行方向に向けて内側から三脚を縛りつけて取り付け。
(撤去)
往復の試運転が繰り返されるが、いざ始まればひたすら様子をうかがうばかりだ。
今度は段取り良く撤去していく流れ。3往復の試運転の後、2班に分かれ、先頭車両のレコーダーと踏切設置の機材の撤去、Dホームでは展望車両の機器とDホームの機材を撤去する。4往復目の試運転が始まるまで急いで撤去する。
(撮影エリアで余韻に浸る)
撮影エリアは機関車やホームや踏切などの施設とは離れた場所なので、しばらく自由に撮影させてもらえた。追加で2往復分の素材を収録したが、SL大樹の3重連の姿をじっくり眺め、余韻に浸る。さて、帰ったら仕上げだ。
-音源紹介-
-24bit/96kHzのハイレゾ音源-
Vol.1 SL大樹3重連試運転 (先頭車両設置 DR-05X) 9分55秒→ 550円(税込)
~1両目から順番に小さくなる汽笛とレールと車輪の金属音をお楽しみください~
Vol.2 SL大樹3重連試運転 (展望車両設置 DR-05X) 10分34秒→ 550円(税込)
~心地よく響く汽笛、展望車両に乗車する感覚をお楽しみください~
-32bitfloat/96kHzのハイレゾ音源-
Vol.3 SL大樹3重連試運転 (Dホーム設置 PortacaptureX8) → 220円(税込)
~3両目の汽笛はまさに爆音、連結と石炭を投入するおまけ音源とともに~
01. Dホーム_出発 2分56秒
02. Dホーム_石炭補充 25秒
03. Dホーム_連結 25秒
Vol.4 SL大樹3重連試運転 (踏切設置 PortacaptureX8) → 220円(税込)
~吹き付ける排気音を収録、音量に気を付けてお楽しみください~
01. 往路 2分7秒
02. 復路バック走行 1分41秒
Vol.5 SL大樹3重連試運転 (撮影エリア設置 PortacaptureX8) → 220円(税込)
~少し離れた距離感での収録、落ち着きある3重連の走行音をお楽しみください~
01. 往路 2分8秒
02. 復路バック走行 1分42秒
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