「こいつ動くぞ !」 TEAC NEW VRDSシリーズ

 ■似て非なるもの

前回はVRDSの歴史や、今年新たに登場した新製品のTEAC『VRDS-701』 『VRDS-701T』の違いについて書きましたが、今回はもう少し詳しくこの新しい2モデルの特長について掘り下げていこうと思います。

その前に、以下の二つの画像を見比べてみてください。
左側は、ESOTERICのベーシックモデルK-05XDに搭載されたVRDSメカ「ATLAS 05」、そして右側がTEAC『VRDS-701』 『VRDS-701T』に搭載されたVRDSメカです。

まず目に付くのがCDと同径のターンテーブルを支えるブリッジ部ですが、ESOTERICのものは厚さ10mmのアルミブロック(上位モデルのものはさらに分厚くなります)を採用し、そのアルミブロックをベースのメカにがっちりと固定し、メカおよびシャーシ全体で不要な振動を吸収する構造となっています。

一方TEACのメカのブリッジ部は樹脂製のトラス構造となっており、剛性という面ではESOTERICのものには及ばないのですが、逆にブリッジ部やトランスポートメカのシャーシへの取り付け部をフリーにして敢えて固定せず「動くようにする」ことで、モーターの振動や外部からの振動をコントロールしています。
 

まあ、このあたりは、片や100万円を超える超ハイエンドな製品(K-05XD:1,045,000円 税込)と382,800円 税込(VRDS-701)の製品ですから違って当然なのですが 、面白いのは同じ『VRDS』を名乗っているにもかかわらず、設計の思想や方向性がかなり異なっているのです。


■TEAC VRDSメカの構造


ではその違いを具体的に見ていきましょう。

ブリッジ固定部

先に取り上げたブリッジ部については、ESOTERICは4本のビスでがっちりベースに取り付けられていますが、TEACの方はぱっと見2本のビスで固定されているように見えます。

実はTEACの方は向かって右側はダイレクトにブリッジとベース部を1本のビスで固定しているのですが、左側は横方向に広げた長穴とビスに取り付けられたアルミのカラーにより、ブリッジ部が動くようになっています。 これにより、CDメカ部の不要な振動をうまく逃がす構造となっているのです。

 

実際のセミフローティングマウント

さらに、シャーシに固定されたサブシャーシとその上に装着されるCDメカとの締結を、セミフローティング構造とすることにより、CDメカとシャーシ間の振動の伝搬をコントロールしつつモーターの振動による共振の影響を排除することで、全帯域において自然な再生音を実現しています。 
また、このセミフローティング構造のもう一つの効果として、外部からの振動もCDメカに伝わることがなくなり、読み取り精度の更なる向上にも寄与しているのです。

ESOTERICは部品レベルから剛性の向上を考え、物理的な構造と物量で徹底的に振動を抑え込む設計に対して、TEACのVRDSメカは必要な剛性は確保しつつ、不要な振動をいなす(逃がす)設計でコントロールするという、ESOTERICとは違ったアプローチで読み取り性能の向上と高音質再生を可能にしているのです。


■DAC(ディスクリートDAC) ※VRDS-701のみ

CDプレーヤーである『VRDS-701』には、UD-701Nで高い評価をいただいている、TEAC独自の高音質ディスクリートDAC「ΔΣ(デルタシグマ)ディスクリートDAC」を搭載しています。
このディスクリートDACは、CDの再生は元よりパソコンと接続可能なUSB端子により、パソコンの外付けUSB DACとしてパソコンに保存されたPCMファイル(最大384kHz/32bit)やDSDファイル(最大22.5MHz)等のハイレゾ再生や、パソコンで受信したamazon musicやApple Music、Spotify等の音楽配信サービスの楽曲再生を高音質でお楽しみいただくことも可能です。
さらに、MQAのフルデコード機能も搭載していますので、MQA CDやMQAファイルのフルデコード再生を行う事が可能です。
※『VRDS-701』も、コアデコードのみのハーフデコードが可能



■10MHz外部マスタークロック対応

『VRDS-701』および 『VRDS-701T』ともTEACのCDプレーヤーおよびCDトランスポートとして初めて10MHzの外部マスタークロック入力に対応しました。
TEACのマスタークロックジェネレーター「CG-10M」等の高精度外部クロックを接続端子に入力していただくことで、音場感や解像度の向上等音質の更なる向上が期待できます。

『VRDS-701』ではさらに外部接続されたパソコンからのUSB入力に対してもマスタークロックによる音質の向上が可能です。
『VRDS-701T』は、単体でもマスタークロックによる音質の向上効果が期待できますが、UD-701NやUD-505-X/UD-505、NT-505-X/NT-505等との組み合わせ時にはトランスポートとDACの双方にクロックを接続していただくことでシステム全体での音質向上効果が期待できます。


■パワーアンプのボリュームコントロールが可能

『VRDS-701』には、通常の出力固定モードに加え、本体ボリュームに連動して出力をコントロールする可変出力モードを装備していますので、パワーアンプのAP-701やAP-505とスピーカーを組み合わせたミニマムシステムの構築も可能になっています。
もちろん、内部回路もフルバランス設計となっているため、XLRのバランスケーブルを使用したバランス接続も可能です。

とりあえず駆け足で『VRDS-701』および『VRDS-701T』について書いてきましたが、まだまだ紹介しきれていないたくさんの機能や特長があります。
ご興味を持たれましたら、是非下記の個別製品ページをご覧いただければ幸いです。

『VRDS-701』製品ページ
 https://teac.jp/jp/product/vrds-701/top

『VRDS-701T』製品ページ
 https://teac.jp/jp/product/vrds-701t/top





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