■VRDS( Vibration-Free Rigid Disc-Clamping System)の歴史
VRDSとはティアックが開発した、CDとほぼ同じ外形の高質量ターンテーブル(DISC)の名称です。CDを上から押さえ込むことによりディスクの微妙な反りや歪みを抑え、ピックアップとディスクの焦点距離を一定に保ち、質量のあるターンテーブルを一緒に回すことでディスク回転時の振動や共振を排除し、さらに高い慣性力で安定した回転を実現した画期的なCDトランスポート機構です。
このVRDSメカを最初に採用した製品は、ティアックのハイエンドオーディオブランドとして誕生したESOTERICブランドのCDトランスポート『P-1』で、1987年に産声を上げました。(組み合わせるDAC D-1も同時にリリース)
その後、ESOTERICは2002年に社内カンパニー化され、2004年にはエソテリック株式会社として独立し、世界に名だたるハイエンドオーディオ専業メーカーとして現在に至っています。
この画期的なVRDSは、その後のESOTERICの製品に順次採用され、1992年にはTEACブランドの当時のフラッグシップモデル、『VRDS-10』に初めて搭載されました。
VRDS-10その後上位モデルのVRDS-20(1993年)や下位モデルのVRDS-7(1993年)、VRDS-25(1995年)、VRDS-50(2001年)等様々なモデルに展開されましたが、先に述べたESOTERICブランドの社内カンパニー制への移行と各ブランドのポジションを明確にする戦略により、TEACブランドからVRDS搭載機は姿を消すことになりました。
一方ESOTERICでは、その後もVRDSに改良を加え、SACDに対応した第2世代のVRDS-NEO、そして現行製品に搭載されている第3世代のVRDS-ATLASへと受け継がれ、TOPモデルのGrandioso P1X(トランスポート)やK1X(一体型SACDプレーヤー)から、K-01XD、K-03XD、そして最新のK-05XDまで、幅広いモデルに搭載され、今やVRDSといえばESOTERICのSACDプレーヤーの代名詞といえるほど、世界のオーディオファイルの間では信頼と実績のメカとして認知されています。
■20年の時を経てTEACブランドにVRDSが復活
そして2023年、TEACブランドのVRDS搭載機としては実に20年ぶりとなる、CDプレーヤーの『VRDS-701』とCDトランスポートの『VRDS-701T』が復活しました。(新型コロナウィルスの影響で2022年中の出荷が出来なかったので21年ぶりが正しいのですが・・・・)
ここでは両機の違いについてご案内したいと思います。
皆さんもご存じの通り、CDには音声情報が44.1kHz/16bitのデジタルデータとして記録されており、それを音として聴くにはそのデジタル信号を読み出して、さらにデジタル信号をアナログ信号に変換する(一般的にD/Aコンバートといいます)必要があります。
一般的なCDプレーヤーは、このCDからのデータ読み出しと読み出したデジタルデータのアナログ変換の両方を一つの機材で行います。
そのため、CDプレーヤーはご使用のアンプに接続していただければ、すぐに音楽を楽しめるわけです。今回のラインアップでは『VRDS-701』がそれにあたります。
一方、最近はPCオーディオやネットワークオーディオの普及により、すでに高音質のD/Aコンバーター(以下DAC)をお持ちのユーザーも多く、CDプレーヤーのデジタル出力をお気に入りのDACに接続して再生したい、という要望が少なからず有ります。
TEACブランドでは、Reference700シリーズで『VRDS-701』と同じディスクリートDACを搭載したネットワークプレーヤーとして「UD-701N」を先行してリリースしており、こちらと組み合わせる場合には同じDACがダブってしまうことになります。
そこで「UD-701N」のDACを活かし、よりリーズナブルにそしてハイエンドオーディオではおなじみのセパレート環境を構築できる、『VRDS-701』からDAC部を排除したCDトランスポート『VRDS-701T』をラインアップしました。
ちなみにDACをお持ちでない場合や、お持ちのDACとTEACのディスクリートDACを比較したいとお考えのお客様は、『VRDS-701』でお楽しみいただければと思います。
ちょっと長くなりましたので、『VRDS-701』および『VRDS-701T』の詳細やESOTERICのVRDS搭載機との違いについては別記事で解説したいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿