【フィールドレコーディング】熊野古道の小滝を録る  ~ティアックレコーディングクラブ マルチトラック録音を考える~

 


(マニュアルモードでマルチトラックの実用例を学びたい)

Portacapture X6の発売が迫り、フィールドレコーディングのコンテンツを追加すべく、今回も屋久島のフィールドレコーディングでお世話になったmidunoさんに収録をお願いしました。


Portacapture X6には上位機種のPortacapture X8と同じくアプリランチャーシステムが搭載されていて、録音設定が簡単であることをおすすめするところですが、せっかくのチャンスなのでmidunoさんにはマルチトラックでの録音をお願いしました。


前回のPortacapture X8(6トラック+ステレオミックス)の時は内蔵マイク2chとRODE NT-SF1で4ch(アンビソニック)での録音で豊かなせせらぎの音を聴かせていただきましたが、Portacaputure X6(4トラック+ステレオミックス)はトラック数が少ないため前回と同じ方法はできません。ちょうど当社にはTM-200SGというショットガンマイクがあるので、こちらを使えないかと提案したところ内蔵マイク(X-Y)とTM-200SG 2本(A-B)の4トラックで録音してみようということになりました。


当方はショットガンマイクにはインタビューやレポートなど人の声を録る1本使いのイメージが強かったのですが、このような使い方もあるのだとできあがりが楽しくなりました。


(セッティングについて)

今回のセッティングはTM-200SGのAB方式のセッティングとPortacapture X6のXY方式の掛け合わせとなっています。

後日midunoさんに取材したところ、今回は使ったステレオバーの幅が狭かったためABマイクはステレオ感を強めるため開いたセッティングにし、AB方式の弱点である中抜けをXYで補強しているとのことでした。midunoさんは普段の録音のアプローチ方法としても「センター(XY、MS)+アンビエンス(AB、Ambisonics)」のセッティングを好んで使っているとのことでした。その理由は遠近感や広がりを調整しやすいことだそうです。また、XYとABの同時録音は短い時間で多くの音を収録しなければならない現場でも有効な方法とのことでした。この時Portacaptureシリーズではマイク同士のミックスバランスをリアルタイムで調整しながら(録音に影響させることなしに)モニターできるのでNGテイクが少なく非常に助かっているとのことでした。


動画ではPortacapture X6、TM-200SGそれぞれとミックスについて順番に試聴していただけるものとしていますので、広がりをイメージしながらぜひ聴きくらべてみてください。

 

(録音設定)

音声フォーマット:32bit Float/ 96kHz ステレオWAV

マイクロフォン:TASCAM TM-200SG ×2ABステレオ)+ TASCAM Portacapture X6内蔵(XYステレオ)

レコーダー:TASCAM Portacapture X632bit Float/ 96kHz収録)

収録日:202212

 

 

(あとがき)

セッティングの意味を理解しながら改めて動画の3パターンを比較試聴してみるとマイクの音質の違いは当然のことながら、カバーしているエリアの違いにも気づけました。ミックス音源ではしっかりと広い範囲がカバーされており、重厚感が増した様子です。XY方式とAB方式の合わせ技について少し理解が深まりました。

midunoさんにはPortacapture X6は完成度が高いとほめていただきましたが、ショットガンマイクTM-200SGに関しても、軽量さを評価していただきとてもありがたかったです。前回の取材の時も機材がコンパクトになることは重要なことだとおっしゃっていたことを改めて思い出しました。

 

miduno(ミヅノ)

Profile】ラジオ局ディレクターを務めた後、レコーディング・エンジニアの赤川新一氏に師事。現在は、自然音や環境音のフィールド録音で活躍する。企業のオーダーに応じての収録や自身のレーベルUZrecordsでの自然音の配信のほか、自然音アルバム『sound-scape』シリーズをリリース。J-WAVE『坂本龍一 RADIO SAKAMOTO』でも作品が高く評価される

ユーゼットレコーズ  https://about.me/uzrecords

 






 

 -音源紹介-

 


 

32bitフロート/96kHzハイレゾ音源

 トラック別に仕上げた音源となっています。セッティング方法やマイクの音質の違いを比較しながら聴き比べしてみてください。

熊野古道 音源セット → 440円【3/31までフリーダウンロード中!】

1_1雨 - 大門王子跡_X6 1分05秒

1_2雨 - 大門王子跡_TM200SG 1分05秒

1_3雨 - 大門王子跡_MIX 1分05秒

2_1雨 - 発心門王子_X6 1分15秒

2_2雨 - 発心門王子_TM200SG 1分15秒

2_3雨 - 発心門王子_MIX 1分15秒

3_1清納の滝_X6 2分10秒

3_2清納の滝_TM200SG 2分10秒

3_3清納の滝_MIX 2分10秒

4_1四村川_X6 1分28秒

4_2四村川_TM200SG 1分28秒

4_3四村川_MIX 1分28秒

5_1小滝_X6 2分00秒

5_2小滝_TM200SG 2分00秒

5_3小滝_MIX 2分00秒


ぜひ、ヘッドホンでお楽しみください。

 





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