2022年6月の3重連試運転イベントにはじまり、7月からは動態保存の3台目となるC11形123号機の営業運転がはじまった。行楽のハイシーズンとなる前に我々はこの記念すべき車両の走行動画を残すために日光を訪れた。
東武鉄道のSLプロジェクトはとても奥が深い。これまで、C11形207号機、325号機、そして123号機と録音させていただいたが、この123号機は特別であることが後になってわかった。同年12月にファンクラブで発売されたDVD「SL大樹C11形123号機復元の軌跡」の第一章を見るとそのプロジェクトの壮大さがよくわかる。静態保存されていた蒸気機関車を4年以上もの月日をかけてSL復元に向けた取り組みや蘇らせるまでの過程がしっかりと記録されている。その思い入れの深い123号機席から見る前面展望の走行動画(本DVDの第2章)の作成が今回の我々のミッションであった。DVDを作るとは聞いてはいたものの、このような大事な仕事であったとは後で驚かされた。
(動画撮影と録音へのアプローチ)
6月の3重連試運転のイベントでは先頭の蒸気機関車にレコーダーを設置してよい録音ができたので、そのときと同様に先頭での映像と音声、また運転席外の映像と音声も狙う計画となった。
蒸気機関車の先頭には、新製品PortacaptureX6とDR-05Xの2機種、機関室下(動輪狙い)にはDR-05Xという配置で臨む。
機器の設置は機関庫で行われる。いつもながらに緊張感が走る。待機、作業、待機、作業、運行前の点検の合間を縫って機器の取り付け作業を進める。今回ははじめて、機関室の写真撮影が許された。2020年以来だが運転席横にもDR-05Xを配置した。
- 設置場所 → 蒸気機関車先頭
- 設置機器 → Portacapture X6 + WS-86 / DR-05X + WS-11
- 設置場所 → 機関室下
- 設置機器 → DR-05X + WS-11
(PortacaptureX6 便利なアプリランチャーシステム)
上位モデルのPortacaptureX8でアプリランチャーシステムについては紹介させていますが、本機にも同様のシステムが装備されています。録音設定を済ませておいて、あとはアプリランチャーシステムの「FIELD」フィールド録音から「乗り物」のダイナミクスプリセットを選んで準備完了です。
- 録音形式 → WAV
- サンプリング周波数 → 96kHz
- 量子化ビット数 → 32bit float
(はじめて ふたら に乗車)
「ふたら」は東武日光で発着する列車につけられている名前だ。今回の行程は、下今市から東武日光に向かい、東武日光から下今市へ戻り鬼怒川温泉へ、そして、鬼怒川温泉から下今市に帰るというフルコースだ。この123号機は下今市からはSL大樹ふたら71号、東武日光からはSL大樹ふたら72号、鬼怒川温泉からはSL大樹6号と運行上の役目を果たしていく。運行パターンBだ(下記のホームページ参照)。
車両編成は先頭に蒸気機関車、後ろからディーゼル機関車が押すプッシュプルの編成だ。SL大樹ふたら71号の先頭はC11形123号機だが、72号の先頭はDL北斗星となり、123号機はバック走行で客車を押すことになる。そして、下今市でスイッチバックして鬼怒川温泉へ向かう。72号の録音では後方から狙うDLの汽笛も楽しみだ。
(音源の編集)
DVDの作業も終了し、ティアックストアでの販売用の音源の編集をはじめる。
これまで走行音のコンテンツはいくつかご用意できたので、今度は機関庫での蒸気機関車の響きに特化した32bitフロートの音源を検討しています。ぜひ、ご期待ください。
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