カエルの鳴き声調査で豊かな自然環境を取り戻す
~水田放棄問題への取り組み~
九州地方で進行中の自然環境再生プロジェクトにおいて、当社のレコーダー「VR-04」をご利用いただいています。
調査は長期にわたるものですが、機器が順調に稼働しているとのご報告をいただきましたので、ご紹介いたします。
本プロジェクトは、日本全国で問題となっている「水田放棄」に警鐘を鳴らし、かつての豊かな自然を取り戻すことを目的とした取り組みです。
枯れてしまった水田に再び水を引くことで、水生生物が息を吹き返し、昆虫・両生類・鳥類などが水辺を求めて集まります。こうして自然の循環が少しずつ再び動き出します。
この調査では、カエルの鳴き声を録音・分析し、その変化を長期的に追跡しています。
当社のICレコーダーがこのような意義あるプロジェクトに採用されたことを大変うれしく思うとともに、自然保全への思いを新たにいたしました。
------(以下引用)--------------------------------
このたび、VR-04 ICレコーダーをお借りし、福岡県朝倉市秋月地区でのカエル類を対象とした鳴き声モニタリング調査に活用したので報告する。
調査対象地は秋月地区内の以下の5地点。
・再生湿地:放棄水田に水路を接続して通年湛水している湿地(約5年間耕作中止、2024年6月より湛水継続)
・放棄水田(Con.)
・圃場整備済水田(Ref.1):冬季は麦栽培、6月中旬より稲作
・圃場整備なし水田(Ref.2):冬季は麦栽培、6月中旬より稲作
・人工湿地:山間のお寺の敷地一画を掘り、川から取水して湛水させた小規模の湿地
調査期間は2025年5月上旬から開始し(先行地点は4月開始)、現在(2025/9)も継続中。
各調査地にVR-04 ICレコーダーを設置して、毎日19時半~20時半までカエルの鳴き声を録音した。録音設定は感度:高、録音形式:HQとした。
各地点には2台のレコーダーを準備し、1台を2週間設置した後、もう1台と交替するローテーション方式で運用した。
野外に設置するにあたり、先行してニホンアカガエルのモニタリング調査を行っていたK氏の方法を参考にし、ハウジングケースを作成してレコーダーを風雨や直射日光による熱から保護した。設置は水田の畔や湿地の岸辺にランタンフックを地表に挿して固定し、写真のように配置した。録音した1時間の音声データのうち、20時からの10分間を分析用データとして抽出した。調査者は再生音源からカエル各種の鳴き声を判別し、その頻度を鳴き声インデックスとして評価することで、各調査地における繁殖活動の比較を行った。
(レコーダー設置の様子)
再生湿地への設置
8月末時点で、5地点で約4か月間連続して調査を継続できている。予備調査を含めると、ニホンアマガエル、ヌマガエル、トノサマガエル、タゴガエル、シュレーゲルアオガエル、カジカガエルの6種の鳴き声を録音し、再生音から種を判別できた。各地点の繁殖状況の違いも明らかになってきている。
---(引用終わり)---
(あとがき)
このレポートと同じくして録音データもいただいた。
トノサマガエル、ヌマガエル、二ホンアマガエルの鳴き声が録音されているそうだ。愛らしい鳴き声だが、当方には種別はわからない。下記のスペクトログラムからもしっかりと録音されていることがわかる。
今回でカエルの鳴き声調査は2例目となったが、カエルの鳴き声が様々な調査の起点に使われることを知った。
改めて、録音機器がこのような現場で使われることを誇らしく思うとともに、調査期間を全うできるようサポートし続けていきたい。
VR-04のテストモニターは引き続き募集しております。ご興味がございましたら、ぜひご応募ください。






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