・おさそい
2021年12月、野鳥録音家 黒田さん のお誘いで日中の野鳥録音を体験することができました。これまで我々は日中の野鳥録音は難易度が高いとのことで、タイマー録音による仕掛け録音をおすすめしてきましたが、いよいよ生本番の野鳥録音に向き合うときがきました。
不安になりながらも、とにかく準備にかかる。
・場所 ふなばし三番瀬海浜公園 千葉県船橋市潮見町40番
https://www.sambanze.jp/
・時間 午前9時~午前11時30分ごろまで
潮が引いたタイミングで海鳥を録音する作戦。
・準備するもの
レコーダー portacapture
X8 2台 手持ち用と三脚設置用
レコーダー DR-05X 2台 三脚設置用とオンカメラ用
ウインドスクリーン WS-11 4個 それぞれのレコーダーに装着
三脚、ソフトグリップハンドル(RYCOTE)、ショックマウント(BOYA / BY-C10)、クリップなどアクセサリー類
・作戦
サブでDR-05Xも回しておこう。1台のDR-05Xは波の音を狙って下向きにしておこう。
手持ち以外のレコーダーは回しっぱなしにしよう。
SDの容量や電池確認などなど。
・その他服装など
防寒対策と長靴、日よけの帽子は必須。小物や飲み物を入れるポーチやリュックなど。
長靴は以前買っておいた日本野鳥の会の長靴がいよいよ活躍する。帽子はあごひもが必須だなぁなどなど。
・リハーサル
録音機器は事前に動作確認と設定、操作の練習。
三脚への機器設置も事前に練習。持ち歩いて重さも確認しておく。
・レコーダーの設定
Portacapture X8は録音フォーマットを最高音質の32bit float/192kHzに設定、あとは プリセットの野鳥モードに設定。レベルHIGHモード、リミッター、ローカットフィルターはOFFに変更。
DR-05Xは録音フォーマットを最高音質の24bit/96kHzに設定。レベル最大、リミッターON。
Portacapture X8にはアプリランチャーシステムという新機能があり、さまざまな用途に合わせた録音プリセット(チャンネル、レベル、フィルター、ゲートなど)が用意されています。今回の場合はフィールドレコーディングのなかから、野鳥モードを選びました。マニュアルで自由に設定を追い込むことも可能です。
DR-05Xのレベル設定は、動画でも紹介しています。
兄弟機種DR-05ver3の設定動画を参考にしてください。
・録音前の予備知識
(タッチノイズ対策)
タッチノイズとはレコーダーに触れることで起こるノイズのことです。録音中にレコーダーに不用意に触ると擦れ音や手汗などでのねちゃつき音などが録音されてしまいます。極端に言えば、録音中にレコーダーの置き方を変えたりしたときの音、録音レベルを変えるときの操作音、ボタンを押すカチカチという音やツマミを回したりするときの擦れ音などが録音されてしまいます。身近な例でいうと有線のイヤホンで音楽を聴いているとき、ケーブルを触るとその音が伝わってくることと同じことです。再生の場合は記録に残らないので、あまり大事ではありませんが、録音でこれが起こるとそのまま記録されてしまいますので、特に注意したいところです。
このことを踏まえて、今回の手持ち用のレコーダーはソフトグリップハンドルを使い本体を触らないようにし、不意の衝撃に備えてショックマウントを使うことにしました。
(風対策)
現場に行ってみないとわかりませんが、ウインドスクリーンでは不十分な場合があると教えられました。音源に近い方が録音には有利であることに変わりありませんが、そのことで風にさらされるようでは本末転倒です。近くに風よけになる障害物があれば利用する、何もなければ自らの体を風よけにつかい、ウインドスクリーンごとレコーダーを風から守るポジション取りが大切です。(黒田さんからの教え。)
・いざ録音
レコーダーの設定も完了しているので、三脚やカメラにマウントしたレコーダーは回しっぱなしで海岸へ降りる。手持ちのレコーダーは適宜、ON/OFFを繰り返していこう。
「声はすれども姿は見えず。」 というのがこれまでの野鳥との向き合い方でしたが、なんと目の前に野鳥が群れをなしているではありませんか。初めて見る光景にしばし驚く。ハマシギ、ミユビシギという鳥たちらしい。みんな、一生懸命餌を食べている。食事に夢中だ。けっこうかわいらしい。
ポジション取りのために、干潟を歩いていく。我々の動きを察知してシギたちは離れていく。
回しっぱなしのレコーダーはいいとして、手持ちレコーダーのON/OFFのタイミングが分からない。
案内されるがままに干潟を歩いていくが、シギを見ながら、両手に機器を持ち、足元を気にしながらで、頭はパニックだ。「ここで転倒するととんでもない事になる。機器をかばって顔面から倒れるパターンだ。」、「ストラップ忘れちゃったな。まいったなぁ。」、「飛んで行ったら終わりだ。」 こんなことで頭がぐるぐるしながら、必死で歩いていく。しばらくコツがつかめない。本番はあせる。
ようやく、若干沈む砂の感覚や浅瀬の深さもわかり、足がどの程度取られるのかもわかってきた。三番瀬に慣れてきた感じ。三脚は適当に干潟に軽くさし込み放置、手持ちレコーダーを片手に忍び足でハマシギに近寄る。子供のころの虫取りをしていた感覚に似ている。
同じく、野鳥の撮影を行っている人がいたが、あまり動く様子がない。キャンプ用の椅子に座り待ちの構えだ。潮が満ちてくるのに合わせ、波打ち際で食餌するシギたちが向こうから近づいてくるというのだ。労せずして野鳥に近づける、これが三番瀬の魅力とのことだ。
今回、我々は他の野鳥も狙うため、西側へ移動を続ける。
西側ではミヤコドリやウミネコ、カモメ類が同じように食餌をしている。
みんな、くちばしが長い。みんなここの貝や虫を食べている。こういう種類の鳥なんだ。
学会の発表などでは食物連鎖という言葉をよく耳にするが、ここでもその営みが行われているのだと考えさせられながら、足を進める。
日中のノイズは厳しい。休日ということもあったが、工事現場が稼働している。上空には飛行機やヘリコプターが通過する。漁船やタンカーも通過する。浜辺で行われるレクレーションの音が、メガホンを通して聞こえてくる。子供たちは元気いっぱいだ。仕方ない。
「録音、大丈夫だろうか。なるべく多く回して、いいところだけを編集しよう。」そう考えながら、息を凝らして近づく。
ミヤコドリやカモメが飛び立つときや着水するときにはばたく音が聞こえる。
「これが録れていたらいいのになぁ・・・。」
2時間近く歩き、足腰はへとへと、我々も昼食をかねて休憩をとることにした。午後から再開の予定であったが、疲れは限界に達しており、作業はここで終了となった。
先日X8を購入して試行錯誤して楽しんでおり、ブログと動画すごく参考になります!
返信削除数点お質問があるのですが
設定に関して以下で説明頂いていますが
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Portacapture X8は録音フォーマットを最高音質の32bit float/192kHzに設定
あとは プリセットの野鳥モードに設定
レベルHIGHモード、リミッターON、ローカットフィルターはOFFに変更
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192kHz の場合、ローカットフィルター、リミッターは機能しない仕様だと思いますが
リミッターはONに出来るのでしょうか?
また、掲載頂いている設定画面ではローカットフィルターがONになっています。
設定値が192kHZではないのでしょうか?
細かくて申し訳ありませんが、動画の録音を再現したくよろしくお願いいたします。
この度は当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
削除また、コメントありがとうございます。
ご質問ありがとうございます。
表記に誤りがあり大変失礼いたしました。
正しくはリミッター、ローカットフィルターともに「OFF」となります。
ご指摘の通り、192kHz設定の場合にはこれらは機能しない設定となります。大変失礼いたしました。
画面キャプチャはランチャーからフィールド⇒野鳥モードに遷移した際のデフォルト画面を抜き出したものとなっておりました。大変失礼いたしました。
192kHzに設定変更しますと、ローカットフィルターはOFFとなります。
恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
返信ありがとうございます。
削除設定が把握出来ました。トライしてみます!
また、3/19の勉強会も楽しみにしています。
よろしくお願いいたします。